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「最後の個展を終えて」 
松原栄司郎


 

 平成4年に第一回を亀岡市で開いて以来、回を重ねて今回で22回目となり、自分の年齢、体力を考えて、これを最後の個展とした。只、これで筆を折るのではなく、これからはサークルでの展示などに参加していくつもりだ。
 今、振り返るとよくここまで続けられたと、我ながらあっぱれと思うと同時に、長年にわたって応援して下さった皆さんに対する感謝の気持ちで胸がいっぱいである。

 

 手元に30年前の第一回時の芳名録があり、めくってみると既に鬼籍にはいられた先輩方、元同僚、友人もあり、また教え子の名前も発見し誠に感慨無量である。そして今回の芳名録を見るに…


• S氏は高校の同級生で第一回より毎回初日に神戸から来場し作品を買ってくれた。S氏の邸宅には私の作品が22点あるはずだ。
• NさんとSさんは私の初任校の美術クラブ員で、毎回来てくれていた。個展をしなかった年は、年賀状で催促してくれた。
• 亀岡高校の同僚だったKさんも常連でその都度作品を買ってくれる地元のコレクターである。
• 駅前に食堂を構えるY氏は、常時店内に私の絵を飾ってくれている。私の講演会長である。
• T氏は中学時代からの親友で毎回夫婦で訪れ、前回は孫を連れて、また今回は息子に車を運転させて駆けつけてくれた。
• 妹のK子は私が美術教師になった時、大きなイーゼルを買ってくれた。これは今も使っている。個展にも毎回息子に車を運転させて来場し続けた。
• S氏は高校の教え子で何時も夫婦で来場してくれ、今回は搬入を手伝ってくれた。さすがに脚立に登って作業するのがきつくなった私は大助かりだった。
 その他常連の方々のエピソードはキリがない。


このように多くの人たちに応援されて今日がある。特に今回は日本中がコロナ禍の中にあり、実は去年5月の開催を1年延期しており、案内状は亀岡市内だけに発送をした。常連でも市外の方には連絡しないと言う苦渋の決断をしたのである。しかし来場者は150名を超え作品も半分が買われていった。これは私にとって最初で最後の最高の成果だ!地方版の新聞にも大きく報道されたので初めて来て下さった方も少なくなかった。


 このような動きに只、只、感動!
 個展最終日には幸せの絶頂に行って、自分の努力を大きく超えた、天の配剤のようなものを実感した!
これが神様なのか!今ここに神様が来て下さっているのだと素直に受け入れることができた!

合掌

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